【カーテンの話】ドレープ?ボイル?…カーテンの専門用語をご紹介します【豆知識】
カーテンってなかなか買う機会も少なく、いざ必要な時は慌てて用意することも多いのではないでしょうか・・・?ここでは、カーテンを選ぶために役立つ情報として、用語のご紹介をしていけたらと思います。
ドレープ
厚手のカーテン生地のことです。
写真のような柄のあるものと、無地のものがあります。
色を染められた糸で織柄を作ったものを「先染め」、生地を織り上げた後に色柄をプリントするものを「後染め」といいます。一般に先染めでつくられたドレープの方が高級とされています。それは先染めの方が緻密で多彩な表現が可能なことに加えて、生産コストがかかることなどが理由として挙げられます。
レースとボイルとトランスペアレント
レースとは本来、「ラッセル編み機」で編んだ、透け感のある薄手のカーテンのことです。
ボイルとは強撚糸を使った透明感のある平織りのカーテンのこと。
一般には薄手のカーテン生地のことを総じてレースと呼ぶ場合が多いのですが、本来はこのように同じ薄手の生地でも「編み」と「織り」の違いがあります。カーテンメーカーによっては薄手のカーテンは「シィアー」と呼び、レースとボイルを区別している所もあります。さらに「トランスペアレント」(=透明な)という呼び名で、特に透け感の強い生地を総称しているメーカーもあります。一般的には薄手のカーテンを全て「レース」と呼んでしまう方が伝わりやすいという現実もあり、業界でも統一するのが難しいようです!
ちなみに、一見レースに似ていますが、より厚みのあるドレープに近いからみ織りの生地のことを「ケースメント」と呼びます。日本の住宅ではドレープとレースを二重吊りにすることが多いので、ケースメントはあまり使われなくなってきています。
エンブロイダリー
裾に刺繍の入ったボイル生地。
カーテンの刺繍といったらトルコ共和国が有名です。無地の生地をトルコへ運んで刺繍を施しています。繊細で華やかなエンブロイダリーは、部屋の中から見ても外から見ても高級感が漂い、非常に人気が高いです。
最近では価格の安い中国や韓国の刺繍を採用しているメーカーもあり、こちらは多色の刺繍で柄を出すことが多いようです。お手頃な価格で手に入るようになり、選択の幅も広がってきています。
※2018年10月現在、Cotolierで販売しているのは、日本製の麻生地に同じく国内で綿刺繍を施した、非常に上質な刺繍生地となっております。
ポリエステル
カーテン生地に使われる繊維素材は、用途やデザインに合わせて以下のようなものが主流となっています。
化学繊維の「ポリエステル」「アクリル」
再生繊維の「レーヨン」
天然繊維の「綿」「麻」
それぞれ素材ごとにメリット・デメリットがあります。同じ素材だけでつくられる場合もあれば、糸を混紡している場合もあり、生地のパターンは多岐に渡っています。
現在、日本国内で流通するカーテンのほとんどがポリエステル製の生地です。国内シェアの90%以上がポリエステルとされていて、化学繊維のなかでも最も扱いやすく機能性が豊富です。
【特徴】
適度な張りがあり、皺になりにくい。
伸び縮みしにくいため家庭で洗えるものが多い。
熱に強く、防炎などの様々な後加工ができる。
【欠点】
静電気がおきやすく汚れがつきやすい
近年では、ポリエステルの持つ熱可塑性(ねつかそせい:熱で変形し、冷めると固まる)を利用し、形状記憶や形態安定と呼ばれる加工をするのが一般的になってきました。きれいなヒダを維持できるのですが、生地によって効果が大きく変わったり、業界で名称が統一されていないので非常にわかりにくいです。この辺りは知識のある専門店や業者に相談することをお勧めします。
アクリル
ウール(羊毛)に似た性質をもつ合成繊維です。
【特徴】
やわらかい感覚で軽い。
染色性が良い。
寸法の安定性も良い。
【欠点】
熱に弱く、アイロンなど温度に注意が必要。
ポリエステルと同様、静電気を起こしやすい。
音を遮る「遮音カーテン」や、保温効果の高い「遮熱カーテン」と呼ばれ売られているものの中には、写真のように生地の裏面をアクリル樹脂でコーティングしているものが多いです。ビニールのような固さがあり、布らしい柔らかな感じは失われてしまいますが…ほぼ完全に真っ暗になり、付加機能の高いカーテンなので機能重視の方にはおすすめできます。
レーヨン
レーヨンは大きく分類すると化学繊維のうちに入りますが、植物繊維からなる再生繊維です。
【特徴】
ドレープ性が良い・・・ヒダがきれい
染色性が良い・・・色がきれい
かさ高があり手持ち感が良い・・・ボリューム有り豪華
【欠点】
しわになりやすい
湿度により伸縮が大きく、水洗いはできない
非常にドレープ性が良く、過去には最も多く使われていたカーテン素材がレーヨンです。しかし伸び縮みが大きく洗濯ができないという点から、現在ではほんの一部のカーテンにしか使用されなくなっています。輸入のカーテンには今でも良く使われていますが、国内製品と比べると割高な商品となってしまいます。
綿・コットン
天然繊維を代表する素材といえるのが綿(コットン)です。タオルや衣服など様々な場所で活躍しますが、伸び縮みの問題からカーテンとしては現在あまり使われていません。発色性が良く、プリント生地では現在でも活躍しています。
【特徴】
特有の風合い、ナチュラル感。
触り心地が良い。
染色性が高く、きれいなカラーのプリント柄が可能。
【欠点】
紫外線によって日焼けしやすい
伸縮が大きい
オーガニックコットンなど、自然回帰・環境に関心のある層に人気の高いカーテン素材です。化学繊維のカーテンよりもドレープ性は劣りますが、それが綿特有の素材感として好まれています。
麻・リネン
世界的にも人気の高い天然繊維です。国内のカーテンとしてはナチュラル感を出すために混紡して使用されることが多いようです。
【特徴】
天然繊維の中で最も丈夫
涼感がある、通気性がある
細菌類が繁殖しにくいので衛生的
【欠点】
非常にシワになりやすい
伸縮が大きい
これらの欠点から基本的に洗濯できないと認識されている麻素材ですが、静電気が起きにくく、ほこりが付きにくいという特徴もあります。そのため日々のお手入れは掃除機だけで、化学繊維のような頻繁な洗濯は必要ありません。実際に15年洗っていない…というリネンのカーテンを見た時にも、非常に綺麗なままでポリエステルのようなべたべたした肌触りがなく、まだまだ使えると思える綺麗な状態でした。
洗濯したとしても、麻は天然繊維で最も強靭で、しかも水に濡れると強度を増す性質があります。実はじゃんじゃん洗濯をしても差し支えないのですが、縮みやシワの関係から「洗濯不可」と思われてしまっています。シワや多少の縮みは気にならない、という人にとってはこれ以上ない上質な素材です。
天然繊維は全て同様ですが、遮光性や防炎などといった、化学繊維のカーテンについている機能はありません。
※2018年10月現在、Cotolierでは天然繊維の「麻」を中心として取り扱っています。麻は植物の茎から取れる繊維で、繊維の中で最も歴史が古く丈夫・上質な素材です。化学繊維には無い魅力がいっぱいです!